世界にはいくつの文字体系がある?

2026年 01月 27日

Elizabeth Strong, Ph.D.

D⁠u⁠o⁠⁠l⁠i⁠n⁠g⁠o⁠への質問⁠:世界にはどんな文字体系がある⁠?

文字体系は⁠、全世界で6種類⁠。意外と少ない⁠?あなたはいくつ知ってる⁠?

「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスを紹介します。過去の記事は こちら をご覧ください。

みなさん、こんにちは!私はエリザベス・ストロングと申します。今回が初めての「Dear Duolingo」コラムとなります。元フランス語教師で、 アイルランド語 や イタリア語 を含む多くの言語を学んできました。そして、語学の中でも特に、 スペル や 文字体系 に強い興味を持っています。だからこそ、今週の質問に回答する機会をいただけて、本当にうれしいです!

今週の質問

言語をどのように書き表すか、つまり「文字体系」には、それぞれの特徴があり、大きく異なります。どの文字体系にも「重視する情報」と「重視しない情報」があり、特定の情報を細かく捉える一方で、他の情報は省略しています。と言われてもピンとこないかもしれませんが、大丈夫。今から世界中で使われている様々な文字体系について、詳しく見ていきましょう!

文字体系とは?

私たちが「文字体系」について話すとき、通常は「文字」を指しています。つまり、言葉の音や意味、あるいは手話などの視覚記号を、記号として書き表す方法です。たとえば、今あなたが読んでいるこの文章では、ひらがな、カタカナ、漢字という三つの文字体系が使われています。一方、複数の言語が同じ文字体系を使っている場合もあり、そのバリエーションとして、追加の記号や符号といった適応形を使うこともあります。意外かもしれませんが、英語、スペイン語、ドイツ語、ウェールズ語、ポーランド語、タガログ語、ベトナム語はすべて、「ラテン文字」という文字体系を採用しています!

また、「文字体系」という用語は、単に文字を指すだけでなく、文字と正書法の組み合わせを指すことがあります。正書法とは、その文字体系で使われている記号が何を表すか、またそれらをどのように組み合わせるべきかというルールを指します。

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文字体系 とは言語を記号として書き表す方法であり、その 正書法 とは、記号を正しく記すための規則です。

たとえば、英語、スペイン語、ドイツ語ではいずれも「j」という文字を使用しますが、それぞれの正書法(各文字を使用できる場所や各文字によって表される音に関する決まり事)は異なります。英語では、この文字は通常「judge [ジャッジ]」という単語の頭の音を表します。スペイン語では、英語話者が通常「h [ハッ]」音と呼ぶ音を発し、ドイツ語では英語話者が通常「y [イ]」音と呼ぶ音を発します。

また「文字体系」という用語は、活字体や筆記体といった異なる書体や、Comic SansやTimes New Romanといったフォントのことを指すこともあります。これらはむしろデザイン用語なので今回は取り扱わず、言語学的な「文字体系」に焦点を当てていきます!

文字体系を区別する要素

文字体系で使う文字には、英語で「Letter」と呼ばれるものと「Character」と呼ばれるものがあります。「Letter」という用語は、英語のような「各文字が音を表す」言語で用いられ、一方「Character」は、文字自体が意味を表す中国語のような言語で用いられています(日本語の漢字もこれに相当します)。

言語によっては「Letter」と「Character」の境界があいまいなものもあり、実は日本語がその好例です。日本人は知らず知らずのうちに3種類の文字体系を使い分け、そのいずれにおいても、各々の記号を「文字」という名前で呼んでいます。

一部の文字体系には発音区別符号やアクセント記号が存在します。これは文字や記号に付加される点やダッシュなどの記号です。発音区別符号やアクセント記号は特定の音や意味を表すのではなく、その文字や記号についての情報を読者に伝えます。たとえばスペイン語では、ほとんどのアクセント記号は単語のどの部分に強勢があるかを示します(したがって「él habló(彼は話した)」では「o」に強勢が置かれます)。一方フランス語では、文字の発音を指定します(「é」ならば口をすぼめた[エ]になり、「è」ならば口を大きめに開けた[エ]になります)。

世界の6種類の文字体系

数千年の歴史の中で、言語を記述するために様々な文字体系が生まれてきました。現在でも使用されているものもあれば、過去の遺物となってしまったものもあります。 この記事の最後に、最も広く認知されている文字体系の一覧と、各文字体系を使用する言語の例をまとめました。

これらの文字体系は、その文字や記号が何を表すかに基づいて、次の6つのカテゴリーに分類できると考えられます。

1. 特徴文字

「特徴文字」は、子音、母音、音節、意味以外の言語の側面を表す文字です。

たとえば韓国語は ハングル を使用しますが、これは口の中で音が発生させる位置に基づいてデザインされています。記号「ᄀ」は単語内の位置によってわずかに異なる音となる場合があるものの、基本的には口の後方で発音する音を表します。

手話表記法も特徴文字の一例で、手話言語における手の形、動き、手と腕の位置、顔の特徴を表します。

2. アブジャド

アブジャドと呼ばれる文字体系では、伝統的に、言語の子音のみを独立した記号として表します。つまり、一部の言語では、母音を全く書く必要がないということです!これを読む人は、文脈から単語内の母音の位置を推測しなければなりません。またこれらの文字体系では、母音をオプションとして追加する手段として発音記号(基本文字に付加される小記号)を用いるものもあります。

ヘブライ語はアブジャドを使用する言語としてよく知られています。「本」を意味する単語には、2通りの書き方が存在します(ちなみに、右から左に読みます!)。

ヘブライ文字を使用する イディッシュ語、アラビア文字を使用するアラビア語も、アブジャドの一種です。

3. アルファベット

普段何となく使っている「アルファベット」という用語は、実は、子音と母音を別々の記号として表す文字体系を指します。

ラテン文字、ギリシャ文字、 キリル文字 はいずれもアルファベットで、見た目こそ違うものの、その仕組みは同じです。つまり、各記号が音を表し、そこから記号が組み合わさってできた単語の発音がわかるようになっています。(ただし言語は 常に変化を続ける ため、現代では記号と音の対応関係がかなり乱れてしまっているものもあります。そう、 英語のスペル がその典型です!)

以下に、3種類のアルファベットの形を比較してみました。

ラテン文字 ギリシャ文字 キリル文字
A a Α α А а
B b Β β Б б
D d Δ δ Д д

英語のアルファベットはラテン文字にあたり、英語をこれから始める人は、 英語の各文字の発音 方法と、 英語の綴りの規則 を学ぶことになるでしょう。

4. アブギダ

アブギダと呼ばれる文字体系は、1つの記号が音節(子音と母音の組み合わせ)を表します。

たとえば、ヒンディー語で使用される文字であるデーヴァナーガリーはアブギダの一種です。同じ子音で始まる文字は通常、見た目が似ています。以下は「k」の音で始まる音節文字の例です。

5. 音節文字

音節文字もまた、1つの記号が音節を表します。しかし音節文字では、たとえ同じ音を内包する音節どうしでも、見た目がバラバラです。

日本語のひらがながその代表例で、たとえば「か」行のひらがなは常にローマ字の「k」で始まるという共通点がありますが、これらの見た目はまったく違います。

6. 表語文字

表語文字では、各文字は、1つの単語(またはより小さな意味単位)を表します。

漢字は表意文字の一種です。各文字にはそれぞれの意味があり、この意味は、他の文字と組み合わされた場合でもおおむね維持されます(または、変わったように見えても裏で生きています)。たとえば中国語では

となります。

時に、ある漢字の発音が他の漢字との組み合わせによって異なることがありますが、その一般的な意味は変わりません。

翻字についての注記

翻字(Transliteration)とは、ある文字体系で書かれるべき単語や記号の発音を、別の文字体系の慣習に従って表記することを指します。たとえば、上の各文字体系の紹介ではヒンディー語、日本語、中国語の記号の横に括弧で発音を示しました。これらは、外国語の発音をラテン文字で表した翻字です。このように、特定のアルファベット(この場合はラテン文字)に翻字することを、専門用語では「ローマ字化(Romanization)」と呼びます。

一部の言語には比較的標準的な翻字のルールが存在しますが、異なる時期に様々な人々によって開発された複数のルールが存在する言語もあります。日本語のローマ字に「ヘボン式」と「訓令式」があるのは、そのような経緯によるものです。

書き方次第で世界の見方が変わる

言語を書き表す文字体系からは、様々な言語を話す人々が、どのように違った切り口から世界を見ているのかをうかがい知ることができます。皆さんも、この楽しみをぜひ味わってみてください!